第52回 #新ゲワンドロ


 



 冬です。寒いです。沼が凍っております。
 現在ファスト平原の奥にある湿原に来ているのだが……。

「かっちこちだな」
「季節によって敵が変わるかもって思ったけど……。どうにもそうっぽいね」

 金属製の飾りのついたブーツのつま先でガツガツと地面を削りながらシンが言えば、お茶漬が白い息を吐きながら言う。お茶漬が言うように現在のファストの季節は冬。さんざん当時私たちを――主に精神的に――苦しめた蚊の魔物は影もない。
 その代わり別の魔物がいるんだが。あと、冬でもチョトツは元気です。でもちょっと痩せてるか? 【鑑定】すると、餌の確保のために気性が荒くなっており、攻撃力がちょっと上がっているらしい。その代わりに体力と守備力がちょっと低め。

「設定が細かいで、しぃぃ?!」
「足元気を付けて! 凍ってたり、そうじゃなかったりしてる!」
「足がつめぇてぇぇぇ!」
「レオは靴を履いて!!」

 獣人にもタイプがいろいろで、シンは足が人間タイプ、レオは獣タイプで普段靴は履いてない。いや、非表示にしているのかもしれないが、今は履いてなかった模様。
 チョトツの攻撃を受けようとした菊姫が凍っている場所と、そうじゃない場所を左右で踏んでしまったらしく、体勢を崩してふっ飛ばされかけた。完全に崩していないのは重、じゃなかった、【運び】系のスキルを持っているのだろう。

「【浮遊】いるか?!」
「ひとまずパス、この辺で何かスキル生えるかも!」
「同じく!」
「僕は頂戴!」
「ワハハハハ!」

 私の言葉に即座に返る言葉。ひとまずお茶漬だけに【浮遊】をかける。私は【運び】の効果で問題なしです。いっそわかりやすく全部凍らせた方がいいか?




「で、結局何かスキル生えた?」
「【氷上行動】スキルが出ました」
「俺【スケート】!」
「おじさんは【氷渡り】!」
「【氷結歩行】が出ました」
「見事にバラバラでし!」

 フロストフラワーでわざと凍らせていたらそんなことに。レオはそれで滑ってたからだな。シンはジャンプが多かったからかもしれん。ペテロが一番スタンダードだと思われます。
 まとめて掲示板のネタバレありのスキルスレに投下するというお茶漬にお任せして、ひとまずクランハウスに移動。今日のご飯はあったかく鍋です!