扶桑で桜が咲き始めたので、花見ついでに桜の花を【採取】しに来ました。こういう言い方をすると情緒がないだの言われるのだが、食材としてもそこそこ需要があるのですよ。
花が散ったら次は葉っぱの【採取】です。
塩漬け、砂糖漬け、アルコールやオイルにつけて香りをつけたり、香料を作ったり。楽しみだな。
というわけで、本日のおやつは桜餅です。道明寺と長命寺をそれぞれ。
「かわいいわねぇ。ピンク色」
「春の色ですね」
カミラとカルにはなかなか好評な模様。
「二種類あるのですが、違いは何です?」
「主に作られた土地の差だな。こっちはクレープの中にあんこが入っている。こっちはもち米の中にあんこ。巻いてある葉っぱは塩漬けした桜の葉で、そのまま食べられるぞ」
レーノの問いに答える。へーと言いながらそれぞれ手を取る。柏餅を出すときは気を付けよう。うん。ちなみにすでに三個セットで雑貨屋には出している。ほとんどの材料が扶桑産なのでなかなかにお高いのだが、季節商品だからか早くはけた。まだ食べていない甘味とあって、カルとレーノが売れるたびに恨めしげな顔をしていたなんてことはない。はずだ。
「桜の塩漬けですか」
「と、こっちは桜の砂糖漬けというか、砂糖で脱水したものだな」
海外だと菫の花とかでやっているのを桜でやってみた。ジャムもいいが、きれいに桜の花の形が残っているのでなかなかの出来だと自画自賛。
どちらもお茶うけにどうだろうかと、イカレ帽子屋のコスプレイヤーことお茶屋の露店に来ている。
「これは、なかなかいい。それにしても桜ですか。扶桑に行けばあるそうですが、私はまだまだいけそうにないですね」
「あーまずはエルフの大陸だろうしな」
ため息をつきつつも詳しくは聞いてこない。こう、さすが元商売人というか、距離の取り方がいい。交換とばかりに生の桜の花を渡して香料を作ってもらう。私でも作れるが、【料理】分野ではなく【錬金調合】なので【調香】もちの彼のほうが評価が高いのが作れるだろう。
そういえばペテロが無臭の毒を作りたいとか言ってたので、もしかして持ってるかもしれないな。怖いので聞かないでおこう。
評価の高い桜の香料を手に入れ、クランハウスに戻る私。酒やケーキの生地に混ぜてみるのもいいな。